額装マジック

額装マジック

 自宅の仕事机の脇の壁に小さなアートコーナーを作りました。版画、ドローイング、イラストレーション……あえてポストカードサイズほどの小ぶりの作品を、自由気ままに額装して、パズルのようにリズミカルにディスプレイ。季節やその時々の気分で主題を決めて、数を増やしたり減らしたり、定期的に入れ替えています。今回のテーマは〝文字〟。色味は、ブルーからグレー、シルバーにこだわってみました。写真の左上から時計回りに、①版画家の西脇光重作’TIP’の文字が書かれたチップを入れるためのカップ、②アートディレクターでイラストも描くナカムラクニオが、自身の著書の挿絵として制作したサンフランシスコの出版社「クロニクルブックス」のロゴマーク、③同じく「クロニクルブックス」のサンフランシスコにある専門書店の内観、④「aen by zakkanews」でも販売しているロンドン在住のグラフィックデザイナー、Stephen Kenny(ステファン・ケニー)によるレタープレスカード、⑤版画家の西脇光重作タイポグラフィーが楽しい作品、⑥白いフクロウは、絵画教室に通うほど絵が好きな10歳の姪がオブジェを見ながら描いたもの。フクロウは学問の神様とのことで、このグループに入れてみました。
 額装については、フレームの価格も、入手方法もさまざま。購入した作品に作家自ら額装をしてくださったものから、老舗の額縁専門店でフレームを選定し入念な打ち合わせをしながら仕上げてもらったもの、オンラインストアや店じまいの文具屋の店先でわずか数百円で手に入れたものもあります。同じサイズのものは、試しに入れ替えてみて、けれどもまた戻してみたり。いずれにしても、どの作品も額装したとたんにパッと輝きが増したような気がしています。そんな風に額装されたアートを集めて飾ると、不思議なことに、それぞれのパワーが合わさったり、時には反発したりして、けれども、すっと調和がとれる瞬間があります。それから、その場を良い雰囲気に変えてくれるのです。

(写真・上 壁にディスプレイした小さな額装されたアートたち。次はどんな作品をこの場所に仲間入りさせようかと、日々目を光らせています)